【建築巡礼ー3:フランク・ゲーリーの建築】

フランク・ゲーリー(Frank Gehry 1929-)、日本では去年[21_21DESIGN SIGHT]で個展が開催された際はずいぶん反響を呼んでいました(フランク・ゲーリー)。
今回の旅では彼が手掛けた建築を3つ観てきました。

① ヴィトラデザイン美術館 Vitra Desaign Museum(1989)

Vitra Campus(ドイツにある家具メーカーVitra社の自社施設)内にあり、ヨーロッパでは彼の初めての作品です。
公園にある遊具の様な可愛らしい建物

美術館入口

開催中のデザイナー「Alexander Girard」展の様子
内部は開口部の取り方が面白く、光も柔らかく入って来ます。

おもちゃの箱の中を散歩している様な発見と楽しさがありました。

② 音楽棟 Pavillon de mudique(2008)
 
南仏にあるChateau-la-coste( ワインと建築とアートの融合を試みている場所)内にあります。
離れて見ると建物と言うより、立体作品の様な印象を受けますが、近づくと丘の斜面に座って鑑賞も出来る、屋外劇場としての機能も持ち合わせている事に気が付きます。 

中に入ると明るく開放的で開口部が大きい割に音響も良く、予想以上に落ち着きます。
中央部分が舞台として機能する
ライブイベントの為に作られたそうです。
古代ローマの円形劇場の現代版というところでしょうか。 
 
③ ルイヴィトン財団美術館 Fondation Louis Vuitton(2014)

パリ16区ブローニュの森の中にあります。
オーナー個人のコレクションを展示する為と、ギャラリースペース:エスパス ルイ・ヴィトン(Espace Louis Vuitton)では展開しきれなくなった企画展を開催する為に作られました。
 

とても訪れてみたかった建物です。
模型では飛行船の様な、空を飛んでいる様な軽いイメージで、実際はどうなのかと気になっていました。
思っていたより太いしっかりした構造部

テラスからは周囲の公園や遠くの街並みが見える

テラス内部は温室の様でもあり

ヨーロッパの旧市街にある様な細い階段もある
展示室で作品を楽しむ他、迷子になりながらテラスを散歩したり、景色を楽しんだりするのも冒険気分で楽しいものです。
植物が育ったら、また違う景色になると思います。

地下には水をたたえた半屋外のスペースがあり
見上げると、帆を張って船出する船の様
模型を見て想像していた時は、ふわふわとした透明感のある軽さのある建物だったのですが、実際に観て、その構造部の力強さに驚きました。

帰国後、東京で開催中の「空へ、海へ、彼方へー旅するルイ・ヴィトン」展を訪れて、この建物に込められている大事なキーワードに気が付きました。
 
創業者ルイ・ヴィトンは、森林業が盛んなフランシュ・コンテ地方出身で、家業は木工製造でした。
創業当時から作られているトランクは〈木〉から作られており、〈〉はルイ・ヴィトン社にとってとても大事なものだった、太い〈木〉を構造体に添えている理由が分かりました。
そしてトランクを使用するのは旅行、〈旅行〉が無かったら今のヴィトンは無かったかもしれません。
だから〈船出〉の場面はルイ・ヴィトン社にとってとても象徴的な場面。
飛行船〉の様なフォルムも、テラスを介して迷子になる様な動線も、ルイ・ヴィトン社が大事にしてきた〈冒険〉というキーワードに繋がります。
奇抜なデザインに目を奪われがちですが、なかなか奥の深い建物でした^^。

凱旋門付近からはシャトルバスも出ている
 

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